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CHANGES:white custom pants


始まりは2年前、静岡で出会ったサーファーが穿いていた1本。

散々穿き倒してきたのであろう、汚れ、生地が薄くなった白いパンツ。

日焼けした肌で自然と穿きこなすその姿に、何故か強く惹かれました。


いつかそのパンツを当店なりに形にしたいという想いを頭の片隅に抱きつつも、

気が付くと随分月日が経過してしまった昨年の冬、

仕入れをするために訪れていたCHANGESの事務所で、

部屋の隅に吊るされた白いペインターパンツが目に入ります。

これは何かとデザイナーの古谷さんに尋ねてみたところ、

「アメリカから届いたばかりのパンツを洗濯・漂白し汚れを落としている。

そして次回のコレクションで資材として用いようと考えている。」という返答が。


『ピンときた』という言葉でしか表現できないのですが、

それを聞いて思い付いたのが、「あのとき見た白いパンツを別注で作る」というもの。

さらに出来上がったモノをそのまま売るのではなく、

仕上げはお客さん自身の手で行ってもらおうという、参加型の企画でした。

「とりあえず白いパンツをある程度の数用意して欲しい」。

そう言って今回の別注が始まりました。










【Date】

04.29 Fri on sale














そもそもあまり白いパンツのイメージがないCHANGES…

というよりもデザイナーの古谷さんがなぜ今回それを選んだのか、

本人が言うには「なんだか気分だった」そう。

普段洋服を紹介する際に『気分』という言葉は意識的に使わないようにしているのですが

(あまりに主観的に感じるため)、恐らく誰もが体験したことのある感覚でしょう。

そして不思議なことに、同じタイミングで同じモノが気になるというのも珍しくないことで、

吊るされていた白いパンツに目が留まったことから、当店としてもまさに今が『気分』でした。

(デザイナーと当店、『両者共に』という点が大切です)


ではその白いパンツをどう頭の中のイメージに近づけ、かつ『CHANGES×doo-bop』にするのか。

古谷さんと相談を重ね、ペンキとワッペンでカスタムするというのが、

やり過ぎず、それでいて白いパンツを自然に穿くことが出来るようになるリメイクだという結果に。

さらにもう一声「特別感を出すためには」と考え、ワッペンの種類と位置、

そして仕上げとなるワッペンへのペイントはお客さん自身の手でしてもらうことに決まりました。











そうして別注の企画をしてから4ヵ月後、まとまった数のパンツを用意することが出来ました。

古着の中でも状態の良いものは特に集め辛いのですが(どうしても汚れが目立つため)、

サイズ、デザイン共に良好な個体ばかりです。


1本1本、後身頃のセンターラインを基準に縫製し直すことでシルエットを整え、

色、位置にも拘った手作業によるペンキの飛沫が加えられています。

これだけで既に素敵なアイテムとなり、どの個体にするか悩むのですが、今回はここからが本番。

以下が実際にお店にお越しいただいてからの流れとなります。


まずはパンツを1本選んでください。

次にアメリカで集められたヴィンテージワッペンが「これでもか」とあるので、その中から3枚選び、

「この場所に取り付けたい」と指定してもらえると、すぐさまその場で縫い付けます。






多種多様なヴィンテージワッペン。

カラフルでポップなものから、個性的で一癖あるものまで。




パンツを広げ、ワッペンの位置を決めてください。

備え付けのミシンで縫い付けます。









ワッペンの縫い付けが終わると、いよいよお客さん自身の手によるペイントへと移ります。

今回用意したのは『白の顔料』一択。

せっかくのワッペンをなぜ白で塗りつぶすのかというと、それが『らしさ』だからです。

ネイビーの生地に同色の柄が入ったシャツの様に、

ブラックで統一しつつもパーツ毎に革の種類を変えた靴の様に、

当店が考える格好良さを伝えるための別注として、『白を白で汚す』という表現になりました。

失敗も成功もありません。思い思いに塗りつぶしてください。






筆を使って白の顔料を塗っていきます。

重ねれば重ねるほどワッペン本来の色を分かり辛くすることが出来ますが、敢えて薄く塗るというのも1つ。







今回ゴールデンウィークの始まりにこの企画を持ってきたのは、

最も自信があり、選んでいただきたいからです。

自分の手で、誰かの記憶に残る1本のパンツを作り上げてください。










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