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ロングブランチ森田さんに「Indian Jewelry」を教えてもらう

 

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1:インディアンジュエリーとは

 

森田:インディアンジュエリーっていうのは、分かりやすく言うとアメリカのインディアンの人たちが作る装飾品全般を言うんですけど、その中でもインディアンジュエリーを作る代表的な4大部族、それがアメリカの南西部エリアに住んでいる人たちです。

ナバホ族、ホピ族、ズニ族、サントドミンゴ族。

この4部族がインディアンジュエリーを作る代表的な部族ですね。

その中でも、インディアンジュエリーを始めに作ったといわれるのがナバホ族。

ナバホ族は18世紀の頃からインディアンジュエリーを作っていると。

 

インディアンジュエリーの起源としては、まずコロンブスがアメリカ大陸を発見して、アメリカ大陸にスペイン人が入植するようになり、

その中で先住民族と言われる人たちとの間で交流が生まれるようになりました。

そしてスペインの当時の技術・デザイン・材料などを先住民族に提供し、彼らの装飾品、儀式のときに用いるものを作るようになったのが始まりだと言われています。

 

もちろん現在では、先程の4部族の部族間において技術であったり技法に違いがあるんですけど。

基本的な技法の違いとしてはナバホ族はスタンプワーク。タガネというスタンプを使って、シルバーを始めとする金属に打刻をしてデザインを施していきます。

 

次に来るのがホピ族。ホピ族の技法としてはオーバーレイですね。

2枚のシルバーを貼り合わせるんですけれど、上層のシルバーにデザインを施して、それを糸鋸で切り抜いて下層のシルバーとロウ付けして、浮彫の様にみせる技法を用います。

 

その次がズニ族で、主にインレイという金属にデザインを金ノコで切り抜いて、その切り抜いたスペースの中にいろんな石、例えばターコイズ・コーラル・ラピスといったカラフルな石(サンゴや貝殻なども含めての)を綺麗に埋め込んでデザインを施す。

そういったのがズニ族の特徴です。

 

最後がサントドミンゴ族ですが、一般的にサントドミンゴ族というのは、

あまりシルバーを使うことはせず、鉱物を中心にネックレスやブレスレットを作ったり、

貝殻を使ったインレイのペンダントなどを主に作っています。

そのなかで代表的なものとして、ヒシというネックレスがあります。

このヒシというのはサントドミンゴ族の言葉で「連なる石」。いわゆるビーズを意味するんですね。そういう風にカラフルなネックレスやブレスレットをつくるのがサントドミンゴ族の主な特徴です。

 

もちろん他の部族にも、その垣根を超えたジュエリーを作るアーティストも増えてきていますし、今言った4大部族の中でも自分たちの伝統的な技法をベースにした上でもっと発展したものを作るアーティストも増えてきているとうのが現状ですね。

 

 

 

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2:森田さんと当店オーナーの中島がジュエリーを好きになったきっかけ

 

森田:きっかけは、もともとは私も洋服屋で働いていて、その当時の上司であった人がリングをつけていて。最初にインディアンジュエリーというものを気にしたのはそれだったと思います。

それからそこのお店で仕入れをするようになって、当然お店の中でもインディアンジュエリーというものを扱うようになって、そこからインディアンジュエリーを深く知るようになったんですけど。

そもそもなぜ洋服屋で働いたかというのも、実はアメリカが好きで、アメリカの文化に触れるのに何が手っ取り早いかと考えたときに、よくいう衣食住ですけれど、その中で僕は衣を選んだんですね。

じゃあ自分が新しく何か仕事をしたいと言うときに、やっぱり何かアメリカに携わっていたいというのが自分の中にあって。

で、この仕事を始めるようになったきっかけと言うのは、そこの洋服屋を辞めて独立しようとしたときに、最初に思い浮かんだものがインディアンジュエリーだったというわけです。

そういう中で、インディアンジュエリーをやってみようかなと思った最大の理由は、アメリカというものに憧れて、メイドインUSAというものにどんどんどんどん触れて、

そういうものに憧れを持つようになった自分が、じゃあ究極のメイドインUSAはいったい何かというところにたどり着いたんですね。

アメリカ人がつくるものがメイドインUSAなんだろうけども、実際アメリカという国は「人種の坩堝」といって色んな人種の人たちが集まってできているのが今のアメリカだと。

さっき言ったスペイン人をはじめとして、そこから全世界の人がアメリカに集まって、アメリカ合衆国というものができあがっている。じゃあその前にいた人が本当の意味でのアメリカ人なんじゃないのかと考えて、アメリカをアメリカと呼ぶ前からそこに住んでいた人たちがつくるものが ‶究極のメイドインUSA″ なんじゃないかって。

というところに至って、じゃあそれはなんだとなったときにインディアンの人たちがつくるものだった。

というところからこの仕事に入りました。格好良いでしょ。(笑)

 

中島さんはどうだったんですか?

 

中島:僕も森田さんとよく似たかんじかな。

もともとは古着屋で長いこと働いていて、そのときに身につけるものと言ったらインディアンジュエリーかカレッジリングだったんよね。

そうこうしているうちに別の洋服屋で働くようになって、何かアクセサリーをやろうかなってなったときに、特にそこまでこれだというものはなかったんよね。

だけどどうせやるんだったら、好きなものをと思ってインディアンジュエリーかカレッジリングをやろうと思ったんやけど、なかなかカレッジリングは難しいなっていうものがあって。

自分が知る限り、インディアンジュエリーほど種類があるわけでもないし、長いこと続けていくのはしんどいかなって。

そんなことを考えているうちに森田さんに出会って、森田さんの考えに共感したりして、

そのうちに自分ものめり込んでいった感じかな。

結局は森田さんという人に出会ったのが大きかったかなと思うわ。

それでインディアンジュエリーを買い付けるようになって、アメリカにも行って実際にアーニーであったりいろんなアーティストに会うことで、やっぱり人との付き合いが面白くて好きになっていったって感じかな。

インディアンジュエリーがというかその作った人に凄い興味を持った感じかな。

それが一番の理由じゃないかなと思うね。

 

 

 

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3:初めてインディアンジュエリーを手に取る人へのお勧め

 

森田:そうですね、インディアンジュエリーのお店はたくさんありますし、

インディアンジュエリーの種類も今は本当に沢山あるので、いろんな選択肢があります。

ただロングブランチとしての視点から提案させていただいているインディアンジュエリーというのは、もともと僕が服屋の出なので、自分が好きな洋服を着たときに、その洋服とどうコーディネイトするかっていう目線からインディアンジュエリーを提案するようにしています。

もちろんアーティストであるとか、ターコイズであるとかそういう所からのアプローチというのもあるんですが、ロングブランチとしては洋服とのコーディネイトに重点的です。

あとはそうですね、良い意味でというとあれかもしれませんが、モノを斜めに見るという考え方ですね。例えば何か王道なインディアンジュエリーがあったら、そこから少し離れたところから物を見て、違う角度から攻めていく。そういう様なアプローチの仕方をいつもしていて、その中でもやっぱりそのジュエリーをどう洋服とコーディネイトしていくか。自分が洋服好きだったらこのインディアンジュエリーをどうコーディネイトするか。

ていうようなところをいつも考えながら提案してます。

 

で、そのうえでdoo-bopの様に洋服屋さんに置いてあるインディアンジュエリーっていうのを、インディアンジュエリーを知らない人がきたときに買おうと手にしたときにどのように説明してあげればいいのか。どうコーディネイトしてあげればいいかというところになるかと思うんですけど、やっぱりまず、その興味を持ってくれた人のファッションを見て、その人の雰囲気を客観的にとらえて、こういうスタイルにはこのようなものが合いますよというようにするんですけれど。

そのなかで1つキーワードになるのは、洋服とコーディネイトするにあたっての第一歩としてはシンプルなもの、洋服とどうコーディネイトしやすいか。

正直ものによってはすごく癖の強いものがあるので、それ1つ着けてしまうだけでそこばっかり主張して全体的なバランスが取れないようなジュエリーもあるんですよね。

そうなってくると、ジュエリー単体としては良いかもしれないですけど、それを身につけるとなったときに、普段の自分の洋服と合わないからやめておこうとなっちゃうんですよね。

そういう意味でも最初の1本というのは出来る限りシンプルなもの、洋服とコーディネイトしやすいもの。そういうアプローチから入っていったほうが良いかなと思いますね。

 

doo-bopとして基準のようなものはあるんですか?

 

中島:やっぱり最初からきついもの行くよりも、プライスも含めて手に取りやすい、合わせやすいやつから入ってもらう感じかな。

それで知らない間に好きになったら最終的にはこうなるからね。(森田さんの腕をとりながら)

洋服と同じようにもっともっとってなっていくから。(笑)

だから最初は自分の直感を信じて頂いて、例えば始めはシンプルなやつが気になったけどそのうち他のも気になるみたいな。始めは柔らかいやつから入ってもらったほうが長いお付き合いができることが多いんじゃないかなあ。ずっと好きでい続けてくれてる人にはそういった選び方をした人が多いんちゃうかなあ。

もちろん最初からドーンといってのめり込んでいく方もいるけどね。

やっぱりゆっくり、このインディアンジュエリーというものの旅というか、物語を自分でつくってくれはったらなって。服とかでも例えばジーパンとかやったら初めはレギュラーを買って、そこから赤耳買って、66にいってダブルエックスみたいなね。

それと同じような流れがインディアンジュエリーにも当てはまるんじゃないかなって。

 

 

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4:お2人が好きなアーティストは?

 

森田:自分が取り扱っているアーティストは全て好きって言ってしまえばそれまでなんですけど、自分がこの仕事を始めて、1番初めに出会ったアーティストっていうのはエディだったんですよね。その当時、今ほど知識もない中で、なんとかエディの家のドアを叩けるようにたどり着いたんですけど、エディとしてはどこの馬の骨ともわからない日本人が何の用だといぶかし気な表情で見てくるんですよね。

その中でインディアンジュエリーが好きで、日本でエディの名前を知って、エディのジュエリーを見て、自分が理想とするインディアンジュエリーはこういうモノなんだっていうのを、拙い英語で伝えたんですよ。するとたまたまエディがその時に持っていた1本っていうのが実は今着けているこれなんですよね。

お前が探しているジュエリーはこんな感じのものかって言って、出てきたんですよ。

それは正に僕が探していたものだったんです。

だから買いたいと、幾らでもいいから売ってくれって言ったら最初はかなり吹っ掛けられたんですよ。ものすごい高い金額を言ってきたんですよ。

でも自分はもう、この仕事を始めて最初のアーティストだったこともあって、大枚叩いて買ったんですね。

そしたらエディも、そこまで好きなんだったらお前の為に作ってやるよとなったんです。

そういったエピソードもあって、自分の中ではエディという存在は別格の思い入れがあるというのはありますね。僕の私的な思いが強いですが。

 

中島:僕はやっぱり作風でいうとアーニー・リスターが好きかな。

彼の人柄、エネルギーがあるというか、なんかジュエリーとその人の人間性がマッチしてる気がするよね。

なんといってもパワフルやもん。

 

森田:彼と話してると疲れますよね(笑)

エネルギー吸い取られる。

 

中島:たしかに(笑)

よくしゃべりますしね。

けどそれだけジュエリーに対する想いが強い証拠でもありますよね。

 

森田:そうですね、やはりモノづくりに対する姿勢もそうですし、こちらを良く理解して作ってくれるアーティストですね。僕も大好きなアーティストです。

 

中島:結局のところ人との関わりですよね。

お客さんもそうですし、協力して下さるメーカーさんにしても。

こうして店頭に立って、貴重なお話を聞けることってなかなかないですから。

森田さん、今回も素晴らしいジュエリーをありがとうございます。

今後ともお願いします。

 

森田:いえいえ、こちらこそありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします。

 

 

 


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